大林組技術研究所 OL3

国内初、建築物解体後の構造部材を新築建物にリユース

POINT

  • 構造から意匠、用途などが全く異なる建築物へ

    解体建物:電磁環境実験棟 S造2階建(1993年竣工)

    建築物の解体後、通常、溶解や破砕され新たな建材としてリサイクルされる鉄骨やコンクリート製の構造部材を、新築建築物の構造体にリユースする国内初の取り組みを、大林技術研究所内の実験棟オープンラボ3新築工事にて進行中。

  • 新築建物:オープンラボ3(OL3)完成イメージ

  • 断熱性能、高効率化設備と太陽光発電などによりnetZEBを実現

  • 復元ではなく、全く異なる建築物へ

    赤い塗装部分がリユースされた鉄骨梁

    古い建材を用いて同じ建築物を復元するのではなく、全く異なる建築物として新たな命を吹き込む前代未聞の試みです。
    木造建築において解体後の木材をリユースする例はありますが、解体後の鉄骨やコンクリートの部材を、新築建物の構造体としてリユースするのは日本国内では過去に例を見ない取り組みと言えます。今回の試みを通じて、リユースに適した技術の開発を進めていきます。

  • 鉄骨・コンクリート製の構造部材を加工し新材と接合

    解体する実験棟の柱・梁・ブレースなど全種別の鉄骨部材を撤去し、新築建物に合わせ切断などの加工を行ったうえで、再び構造体として使用。基礎・基礎梁・小梁・床などのコンクリート製構造部材についても、新築建物の平面形状に合わせて切断後、接合部を加工し、現場で新材と接合するなど、新たな建築物の構造体としてリユースします。

  • 完全な新材使用の新築よりCO2排出量を約49%削減

    オープンラボ3(OL3)における使用構造部材の製造時CO2排出量の比較

    新築建物の構造部材のうち鉄骨57%、コンクリート33%で、解体建物のリユース材を使用。構造部材製造に伴うCO2排出量は、新たに全ての資材を調達する場合に比べ約49%の削減が見込まれます。

  • 大阪・関西万博パビリオンに使われた資材をリユース

    大阪・関西万博の会期後に解体されるパビリオンの建築・設備資材をリユースします。タイルカーペットなどの内装材、舗装ブロック、グレーチング、デッキ材などの外構・外装材、照明器具、スピーカー、コンセントスイッチなどの電気設備、換気扇、制気口などの空調換気設備、水栓、衛生陶器などの衛生設備や防災設備などをリユースします。

  • さまざまなリサイクル建材を採用

    (左から)クリーンクリートN、CO2固定化塗料、リグニンクリート、アルファティンバー、屋内緑化

    <クリーンクリートN(PCa外装板)>
    製造時のCO2排出量を実質ゼロ以下へ(カーボンネガティブ)。リサイクル材である高炉スラグ微粉末やセメント系廃棄物など使用したセメントを外装のPCa板に採用。

    <CO2固定化塗料(内装塗装材)>
    ホタテ貝殻をサイクル材として用いた塗装材を採用。

    <リグニンクリート(階段段板)>
    木質バイオマス廃棄物である粉体状リグニンを砂の代わりにコンクリートに添加。

    <伐採樹木の再利用>
    新築工事に伴い伐採された木材を外構材、内装材としてリサイクル。

    <グリーン鋼材(構造用鉄筋)>
    CO2削減製法を用いて製造されたリサイクル鋼材を鉄筋として採用。