Chapter 01 SOLUTION 建設プロセスにおける
低炭素技術/取り組み

SOCIAL PROBLEM 施工

人の働き方や機械の
動かし方を変えることで、
CO2の発生を減らしています。

建設現場は、それぞれ空間や環境が違うので、つくるものも、つくり方も毎回異なります。

工場のラインで同じ製品をつぎつぎと生産するのとは違って、さまざまなスキルを持つ人や多種多様な機械が作業する中、どうしても、「ムリ・ムダ・ムラ」が生じてしまいます。

それが、人やモノが動くことで発生するCO2の量をさらに増やしているのです。

それなら、現場も工場のように自動化できないか?いま私たちはその可能性を探っています。

環境に優しいスマートな建設現場へ

建設生産
プロセスの変革

「先進的な現場」へ進化させよう。

それが、ムリ・ムダ・ムラの
解消につながるはずだから。

大林組 東日本ロボティクスセンター 運営管理部 主任 方 載希 大林組 西日本ロボティクスセンター 施工技術部 沖野 太基
サイバー空間を介した生産プロセスで、
生産力を維持し持続可能な社会へ。

建設業の現地生産では酷暑での作業、手まちや手直しなど「ムリ・ムダ・ムラ」が存在します。労働人口の減少と技能継承不足は生産効率を低下させ、さらに環境負荷を増大させます。大林組の「ロボティクスコンストラクション」は、サイバー空間を介した最適な計画と品質の高い施工により「ムリ・ムダ・ムラ」を解消することを目指す構想です。働く人にとっても環境にとっても持続可能な建設生産プロセスをつくります。

サイバー空間とリアルな空間を
シンクロさせる新しい手法で、
現場のスマート化を進めています。

大林組の「ロボティクス コンストラクション」

施工現場と時間的に同期させた動的CPS(Cyber-Physical System)を構築し、サイバー空間上の建設機械デジタルツインと周辺環境をモニタリングして動作計画を行い、建設機械の自動化・遠隔施工を可能にします。

遠隔地での施工もより安全に、 そして効率よく

安全で効率的なクレーン作業を実現

遠隔でのクレーン作業

労働人口の減少と技能継承不足は生産効率の低下を招きます。デジタルツイン技術を活用し、遠隔・自動運転機能、技能補完、マネジメント機能を統合することで、安全性を向上させ、作業効率の低下を抑制します。

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安全で効率的な重機作業

ダムの盛土や煙突解体の遠隔施工

ダム盛土工における積込み・運搬・敷き均しなど一連の作業を、一人の管理者で施工可能。人の立入りが困難な解体現場から離れた場所で、安全に建設機械を操作できます。労働人口の減少と技能継承不足に対応、重機作業の省人化に貢献します。

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建設機械の電動化と バイオディーゼル燃料の 活用も始まっています。

電動建機の導入で、
ゼロカーボン施工へ​

バッテリー式大型電動建機の採用​

2024年10月、首都圏のトンネル建設現場で、100%バイオディーゼル燃料専用のエンジン発電機にて20t級のバッテリー式油圧ショベルを充電。今後様々な現場において電動建機の導入を進め、建設機械稼働時のカーボンフリーの実現へ向けた取組みを推進していきます。

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ゼロカーボン施工に向けた
資源循環の推進​

バイオディーゼル燃料の活用​

一般家庭などから出た廃食油(自社の食堂から出た廃食油も含む)を製造委託先で100%バイオディーゼル燃料に精製し、建設現場で使用する取り組みを推進。燃料調達から使用までの資源循環プロセスの構築をめざすとともに、各種軽油代替燃料の使用を推進し、軽油由来のCO2排出量の削減に取組んでいきます。

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廃食油の回収 B100製造 建設機械への供給・使用
環境に優しいスマートな建設現場へ

シールド
トンネル

トラブルを最小限に抑えること。

地下深い現場でエネルギーの消費を
減らす秘策です。

大林組 土木本部生産技術本部 シールド技術部 担当部長 上田 潤
一寸先も見えない地下でこそ、
最先端技術で明日を照らします。

地下にはどんな障害があるか分からない。都市部を掘り進むシールドトンネル工事も、まさに暗中模索です。大量のデータを取得し解析しながら工事を行うのですが、一つでも見落としや判断ミスがあるとやり直しにつながることも。そんなトラブルがCO2排出量を一気に高めてしまいます。人の経験や勘も大事ですが、先の見えない地下の状況を最先端技術でとらえ、AIが判断し正しい方向へと導く。トンネル工事をより安全・安心、効率的に進めるための技術開発が私たちのチャレンジです。

6つの技術を統合しトンネル
工事を自動化・自律化する
システムを開発しています。

シールド工事のさまざまな作業を自動化

OGENTS

昨今の人口減少や高齢化に伴う担い手不足問題を解決するため、シールド工事に関わる6つの作業の自動化技術を連携し、シールド工事全体を自動化するのが「OGENTS」です。シールド工事の省力化と品質向上の実現が可能です。

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二重カッター方式で
高速掘進&節電
省エネシールド

シールドマシン前面にあるカッターヘッドを外周部と内周部に分けて別々に回転させ、それぞれを最適な速さに設定できるので効率的な掘削が可能に。大断面トンネルの掘削において、高速掘進と消費電力の低減を実現します。

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環境に優しいセグメント クリーンクリート
セグメント

シールドトンネルの覆工に用いるRC(鉄筋コンクリート構造)セグメントのコンクリートに高炉スラグ微粉末を混合したクリーンクリートを使用することで、一般的なコンクリートで製作した場合に比べてCO2排出量を大幅に低減できます。

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施工時のCO2排出量を
実質0以下に
カーボンニュートラル
裏込め注入材

シールド工事にて、組み立てたセグメントと地山との空隙に充填する裏込め注入材は、通常、製造時にCO2排出を伴うセメント系固化材を使用します。炭素を固定・貯留できるバイオ炭に代替することで、CO2排出量を実質105%削減します。

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地上発進&到達でCO2排出量を低減 URUP工法

シールドの地上発進、地上到達を実現することで、立坑の構築や開削工事が不要となりシールドの急速施工が可能です。立坑構築に伴う大型重機の排除や、残土搬出のためのダンプ台数削減により、CO2排出量を低減できます。

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北海道から九州まで。

私たちのシールド技術が、
都市の地下を掘り進めています。

首都圏ネットワークの進化で、走行によるCO2排出を削減

東京外かく環状道路

東京外かく環状道路の一部をシールド工法で建設しています。交通の流れがスムーズになることでCO2の排出量を大幅に削減させる効果が期待できます。

クリーンクリートセグメント初適用

岡山電力洞道

地下送電線路の新設工事でクリーンクリートセグメントを初適用しました。セグメント1リング当たりのCO2排出量を通常の588kgから199kgに減らし、約66.2%の削減ができます。

市街地の渋滞緩和に寄与

福岡市地下鉄七隈線

2023年3月に延伸開業した福岡市地下鉄七隈線の新駅・櫛田神社前駅~天神南駅の区間を、シールド工法によって建設。博多の渋滞緩和、延いてはCO2排出量の削減に寄与するプロジェクトとなりました。

札幌市街地の地下を掘削中

北海道新幹線
札樽トンネル

全長約26.2kmの札樽トンネルのうち、札幌側の約8.4kmの市街地区間においてシールド工法によりトンネルを建設。騒音・振動の発生を低減できるといった同工法の特長を都市部で活かしています。

環境に優しいスマートな建設現場へ

人とロボットの
協働

運ぶ・つくる・確認する。

建設をめぐるシーンで、
人とロボットの協働を始めています。

大林組技術研究所 生産技術研究部 上級主席技師 池田 雄一
技能工不足にそなえ、
人とロボットの協働を推進します。

危険な作業はロボットに任せる。それも一つの考え方ですが、私たちは「現場のパートナーにできないか?」という観点でロボットを活用しています。大林組には、現場でのコミュニケーションに多くの時間をかける文化が受け継がれています。施工の最前線で得られるいきたノウハウをAIに学習させることで、ロボットも人間のようによりフレキシブルな対応ができるのではと期待しています。「ロボットも人間も働きやすい現場」をデザインし、いっしょに生産性を高めることをめざしています。

さまざまな建設機械やロボット、
デジタル技術。
それらが人とつながり、
現場を大きく変えています。

ロボットが、人に替わり、 施工を変える

技能工の生産性と吹付け品質を実現

耐火被覆吹付けロボット

鉄骨造の建設物において、鉄骨の火災損傷を防ぐために施す耐火被覆の吹付けを自動化。事務所ビルの梁の吹付けを効率良く行えるようにロボットを設計し、具現化しました。吹付けの生産性・品質ともに技能工レベルに達しています。

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デジタルの力で、 現場に高い生産性と安全を

3DCGで事前に作業を「見える化」

施工シミュレータ
GEN-VIR

現場作業員の疲労負担軽減や生産性向上、リスク回避を目的に、大林組とトヨタ自動車未来創生センターが共同開発した3DCGの作業シミュレーション技術です。バーチャル空間上で施工現場や作業員の動作を再現。施工前に詳細な検討が可能です。

*GEN-VIRはトヨタ自動車(株)の登録商標です。
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誰が、どの作業担当か、どの作業に、どんなリスクが潜んでいるかを表示

BIMと現実を重ね合わせて品質管理

MR品質管理システム holonica

現実の施工箇所にBIMデータを重ね合わせて施工確認や検査などを行う品質管理システム。設計情報を3次元で可視化することで不具合の予兆への気づきを促すとともに、協力会社を含めた一連の業務フローのデジタル化により作業を効率化します。

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LRV工法の板図を自動チェック

AIを活用した図面の
照合システム

図面のチェック業務は膨大な時間を費やす上、チェック漏れがあった場合は部材の再製作が必要になるなどコストアップと工程遅延による甚大な損失が発生します。そこで、LRV工法のPCa部材を対象に、構造図の掲載範囲を自動チェックするシステムを開発しました。

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重機の作業時間を10%以上短縮

土付着抑制部材
「ジオドロップ」

フッ素樹脂と鉄板を接合した部材を、油圧ショベルのバケットに貼り付けるだけで土砂の付着を抑制。重機の作業時間を10%以上短縮するとともに、CO2排出や騒音・振動発生の抑制、生産性向上、バケットの延命化などに貢献します。

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環境に優しいスマートな建設現場へ

建設3Dプリント

3Dプリンターを活用し、
資材や人員を減らす。

さらに、デザインの可能性も広げます。

大林組技術研究所 生産技術研究部 課長 坂上 肇
自由なアイデア、自在なカタチを、
社会にどんどんプリントしていきます。

今や一般にも浸透しつつある3Dプリンターですが、建設の世界でも活躍し始めています。高い意匠性が求められる建築はもちろん、土木でも多品種少量の部材の製作に力を発揮。最新の技術では、積み重ねる材料の厚さをフレキシブルにコントロールすることも可能となり、より自由なアイデアで、自在なカタチをつくることができるようになりました。3Dプリンターによる新たな「つくり方」を探求することで、新たな「つくるもの」も見えてきます。可能性あふれる技術をますます追究していきます。

今までなかったカタチ、
つくるのが難し
かったものを、
幅広いシーンでどんどん3Dプリントしています。

オール3Dプリントによる建築物

3dpod

3Dプリントした型枠にスリムクリートを充填(じゅうてん)する独自の構造形式で、大林組技術研究所内に建設。セメント系材料を用いた3Dプリンターによる建築物として、国内初の建築基準法に基づく国土交通大臣の認定を取得しました。

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建築デザインの自由な発想をカタチに

大林組技術研究所にて3Dプリント 大林組大阪本店・
受付カウンター

美しい流線型のベンチを製作 横浜シンフォステージ・
屋外ベンチ

独自工法で複雑な自由形状を実現 生駒山上遊園地・
チケット売場

多品種少量の土木部材も合理的に製造

規格品と併用でフルプレキャスト化 新丸山ダム建設工事・擁壁

国内初、大型土木構造物に適用 R3西湘海岸岩盤型潜水突堤

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建設3Dプリントの可能性を拡大 金属3Dプリント

コンクリートだけでなく金属を材料とする3Dプリンティング技術を、建設分野で活用することを追究。鋳造等の代替として、多品種少量の部材製造に対応できる技術の開発に取り組んでいます。

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  • Chapter 02 VISION

    脱炭素社会に向けた
    大林組の構想

    資源循環、生物多様性、エネルギー、交通インフラなどをテーマに、建設業の枠にこだわらず大林グループが挑む脱炭素社会に向けた様々な構想、技術をご体感ください。

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  • Chapter 03 CREATION

    脱炭素社会実現と
    新たな社会の価値創造

    大阪・関西万博での取り組みをはじめ、大林グループが脱炭素社会実現とともに進める新しい価値創造の数々をご覧いただけます。

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