Chapter 01 SOLUTION
建設プロセスにおける
低炭素技術/取り組み
SOCIAL PROBLEM 資材開発
- 私たちの取り組みは、
建設資材の低炭素化、
脱炭素化からはじまります。 -
建設資材の代表格、鉄やコンクリート。
ビルをはじめ、橋、ダム、トンネルほか、私たちを取り巻く建築物や構造物に多く使われています。
強度や耐久性、経済性などたくさんの理由から、それらを建設資材として使うことがもっとも合理的だからです。
ところが、コンクリートも鉄も製造時に大量のCO2が排出されます。だからこそ、私たちは考えます。「CO2の排出量が少ない資材をつくること、使うことはできないだろうか?」
そして、建設プロセスの脱炭素化に、建設資材の製造段階から取り組んでいます。
コンクリート
低炭素型なのに
普通のコンクリートと同じように使えること。
それが開発テーマです。

- どんなに優れた素材でも、
使いやすくなくては意味がありません。 -
都市を埋め尽くすコンクリート。つくる際に発生するCO2を劇的に削減したいという想いで開発したのが「クリーンクリート」です。使用材料や調合を工夫し、通常のコンクリートと同様のつくり方や施工性を実現。中性化が早く鉄筋が錆びやすくなる低炭素型のコンクリートの弱点も、その進行を抑える塗料を開発して克服しました。建築と土木で異なる規準や規格の壁も乗り超え、普及に力を注いでいます。さらにコンクリートのCO2削減から吸収・固定へ。次のフェーズに向けて技術を日々進化させています。
使いやすい資材をつくれば、
脱炭素に貢献できる。
私たちはそう信じています。
CO2の削減 | CO2排出量を 大幅に削減し、JIS規格にも適合
産業副産物を有効利用
クリーンクリート
セメントの大部分をCO2排出量の少ない産業副産物(例:高炉スラグ微粉末、フライアッシュ)に置換することで、普通コンクリートに比べてCO2排出量を最大80%削減できます。
- セメントの60%以上を置き換え
-
- 環境製品宣言ラベルSuMPO EPDを
取得 -
一般的な普通ポルトランドセメントのみを使用した同じ圧縮強度レベルのコンクリートよりもCO2排出量を63%削減できることを、第三者機関の正確性の高い算定によって確認しました。
打設量やCO2の削減量で、 業界を大きくリード
国内土木工事で最大規模のクリーンクリートを打設
新丸山ダム
岐阜県加茂郡八百津町・可児郡御嵩町で進めている新丸山ダム建設工事にて、国内土木工事では最大規模の使用量となる約1万5,500m³(設計数量)ものクリーンクリートを打設。約1,500人が1年間に家庭から排出する量に相当するCO2削減効果があります。


新丸山ダムの下流締切工(左)と既設丸山ダム仮排水路トンネル閉塞(へいそく)工(右)でクリーンクリートを打設(オレンジ色が適用部分)

史上最大規模となる約9万m³のクリーンクリートを打設
エスコンフィールドHOKKAIDO
開閉式の屋根を支える鉄筋コンクリート造のガーダー架構に、約9万m³のクリーンクリートを打設。低炭素型のコンクリートの調達が難しい北海道で、土木・建築を合わせて最大規模となる量を打設しました。



CO2の固定 | プレキャスト製品 や現場打設にも適応可能
カーボンネガティブを実現可能
クリーンクリートN
クリーンクリートを発展させた「クリーンクリートN」は、クリーンクリートにCCU粉体を混入し、その混入量に応じてCO2排出量を差し引きゼロ(カーボンニュートラル)からさらにマイナス(カーボンネガティブ)まで達成可能です。


CCU粉体の活用
CCU(Carbon Capture and Utilization)粉体とは、CO2を吸収し固定した粉体です。

CO2の固定 | 幅広い構造物の資材に
木質バイオマスを使用しコンクリートにCO2を固定
リグニンクリート
木材を使用する製紙工程で排出される木質バイオマスの一種である「リグニン」を使用。配合の工夫で、コンクリートの製造時に排出するCO2と同量のCO2をコンクリート中に長期間固定することができます。

繊維材料の再生利用 | コンクリートの性能を強化
再生炭素繊維の使用で鉄筋をなくしCO2を削減
リカボクリート工法
燃料電池車「MIRAI」の水素タンクに使用されている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の端材を、コンクリート補強用短繊維として再生利用し、鉄筋を削減。ポリプロピレン製短繊維の3分の2の添加量で同等以上の圧縮強度や外力によって破壊されにくい靭性を発揮します。

地盤改良材 | コンクリート同様の低炭素型
地盤改良工事のCO2排出量50%低減
バイプロジオ/クリーンクリートジオ
脱炭素に貢献できる地盤改良材です。改良材のCO2排出原単位は従来材料の約50%です。また改良土から六価クロムを溶出しやすい関東ロームのような土でも溶出リスクがありません。強度発現性も良く、従来と同程度の添加量で必要強度を満たします。

製造時のCO2排出量60%削減
Infill Hard Geo
グラウト材に使用されるコロイダルシリカを工場生産から天然由来のものに置き換えることで、同等の性能を保ったまま、製造時のCO2排出量を約60%削減することを可能にしました。

資源循環
リサイクル
自然界の無機資源を
建設に
役立てられないか?
そんな探求心から
生み出した資材です。

- 「もっと」の気持ちで、
最良の自然由来素材を探し続けます。 -
建築物の継ぎ目や隙間を埋めるシーリング材や外装用の塗料も、製造時にCO2がたくさん排出されます。「自然由来の材料を使えば低減できるかもしれない」と研究した結果、貝殻を砕いた粉に希望が見えました。アワビ、アサリ、カキ…いろいろな貝で机上検討や実験を繰り返し、ホタテが最有力であることを突き止めたのです。大量に廃棄されるホタテの貝殻は社会問題にもなっており、その有効活用はまさに一石二鳥! ただし、ホタテがベストアンサーとは思っていません。研究はまだまだ続きます。
原料はホタテの廃棄貝殻。
なのに、従来のものと変わらない
仕上げ材が出来ました。
廃棄貝殻にもう一度、 建築資材という命を与える
ホタテ貝殻粉を利用した仕上げ材
スキャロップシール
/スキャロップペイント
目地などに充填するシーリング材や、塗料に配合される炭酸カルシウムの代替に、ホタテの貝殻を粉砕したバイオマスフィラーを使用。ホタテは成長過程で海水中のCO2を貝殻へ吸収・固定化するため、製造時に係るCO2排出量を低減できます。

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スキャロップシールの
製造工程 -
スキャロップシールの
引張接着性試験結果(JIS A 1439建築用シーリング材の試験方法)耐水性、耐熱性いずれも従来品と同等でした。
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スキャロップペイントの
耐候性試験結果艶はほとんど変化がなく、色の変化もわずかに感じる程度。
建設廃棄物も再利用
廃プラ再生材の
3Dプリント技術
建設現場から排出される廃プラスチックを、ペレット化せずフレーク状のまま3Dプリントの原料として再利用。
加工に費やすエネルギーとコストを削減でき、ペレット化したものと同等のプリントを⾏うことができます。
